大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(ネ)66号 判決

控訴代理人は原判決を取り消す、被控訴人の請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする旨の判決をもとめ、被控訴代理人は控訴棄却の判決をもとめた。

当事者双方の事実上の主張は、原判決の事実摘示と同一であるからその摘示の事実をここに引用する。

証拠として、被控訴代理人は甲第一、二号(写)を提出し、原審における被控訴人渡辺隆作の本人尋問の結果を援用し乙号各証の原本の存在ならびにその成立を認め、控訴代理人は乙第一、二、三号証(写)を提出し、原審証人阿部政太の証言および原審における控訴人議会代表者竹内弥平次の本人尋問の結果を援用し、甲号各証の原本の存在ならびにその成立を認めた。

三、理  由

被控訴人は控訴人議会の議員であつたが昭和二十三年六月二十九日開かれた控訴人議会の会議において議決をもつて除名されるにいたつたこと、被控訴人は右除名決議は違法であるとして新潟地方裁判所に除名決議取消の行政訴訟を提起した結果被控訴人勝訴の判決があり、その判決は昭和二十四年五月二十八日確定したこと、および昭和二十三年七月十一日開かれた控訴人議会の会議の席上被控訴人に同会議規則の違背ならびに議会の体面を汚損する行為があつたものとして、右取消の判決の確定後開かれた昭和二十四年六月三十日の会議において会議規則第三十二条第一、二号を適用して控訴人議会の議員たる地位を回復するにいたつた被控訴人を除名する旨の本件決議をしたことは当事者間に争のないところである。

よつて、右昭和二十四年六月三十日の本件除名決議が違法であるかどうかについて考えるに、まず被控訴人は前記のように昭和二十三年六月二十九日の控訴人議会の会議において議決で除名された以上はその決議は直ちに除名の効力を生ずるものであるから、これにより被控訴人は控訴人議会の議員たる地位を失うにいたつたものであつて、尓後裁判上の手続でその除名決議が取り消されるまでは被控訴人は、もはや控訴人議会の議員としての行動をすることが法律上できないものであるから、その間における被控訴人の行動は如何なる意味においても議員としての行動と目すべきものでないといわなければならない。また、被控訴人が新潟地方裁判所に右除名決議の取消請求の行政訴訟を提起し被控訴人勝訴の判決を受け、その判決は昭和二十四年五月二十八日確定したことは前記のとおりであるからこれによつて被控訴人は控訴人議会の議員たる地位を回復するにいたつたものであることはもちろんであるが、その取消の効力は単に議員たる地位を除名決議当時にさかのぼつて回復せしめるにすぎないものであつて、その判決確定前になした被控訴人の行動を議員たるの行動とみなされるような結果を招来するものではないと解すべきであるからたとえ、被控訴人が右除名決議後で、しかも、右取消の判決の確定前である昭和二十三年七月十一日開かれた会議の議場に、ほしいままに、入場し強いて議長席に着席し、副議長竹内弥平次よりの再三の退席の要求にも応じないばかりでなく、同副議長が、そのまま開会を宣し上程の議長補欠選挙に関する議案の朗読を書記に命じたところ被控訴人はこれを妨げ、議案書類を書記より奪つて破棄し、議事の進行を妨害する等控訴人議会主張のような事実があつたとしても、この事実を議員としての行動と目すべきものでないことは前説明によつて明らかなところであるから、これに対し控訴人議会が議場内における議員の行動を規律する会議規則を適用してなした本件除名決議は違法であることはいうまでもないところである。

以上説明したとおりであるから本件除名決議の違法を主張してその取消を求める本訴請求は正当で本件控訴は理由がないから民事訴訟法第三百八十四条第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 中島登喜治 箕田正一 小堀保)

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